洗牌 2017 6 18

書名 米中の危険なゲームが始まった
著者 福島 香織  ビジネス社

 「洗牌」(シーパイ)とは、
麻雀(マージャン)をやったことがある人は知っているでしょうが、
対戦の一局が終わった後で、牌をかき混ぜることです。
 カードを使ったゲームでも、
ゲームが終わって、次のゲームを始める前に、
カードをかき混ぜるかもしれません。
 著者によると、TPPやパリ協定の離脱、
さらに米国第一主義を掲げたトランプ政権の登場によって、
国際秩序は、「洗牌」になったという。
 さらに、著者によれば、
中国の国内政治も、「洗牌」になる可能性があるという。
 アメリカでは、トランプ政権の権力基盤が盤石でないように、
中国の習近平政権も盤石でないという。
 ある事件が契機となって(この本に詳細があります)、
腹心と言われていた王岐山氏は、距離を置くようになったという。
 さらに、それを見た栗戦書氏も、
微妙な迷いが生じるようになったという。
そうなると、習近平派閥には、実力者がいなくなるでしょう。
 一方、党の政治局には、団派の有力者が多い現状があります。
さらに、江沢民派も、復権を目指しているでしょう。
 その上、中国を取り巻く国際情勢を見てみると、
アメリカが、中国に対して、
朝鮮半島と台湾で政治的攻勢をかけてくるかもしれません。
 アメリカとしては、北朝鮮の核開発問題は放置できないでしょう。
北朝鮮のICBMが、アメリカ本土を効果的に狙えるのは技術的に無理がありますが、
中東には、北朝鮮と関係がある国が、いくつかあります。
 そういう国に北朝鮮の核兵器が流れてしまうと、
中東における最終的な戦争の誘因になります。
 アメリカとしては、中国が北朝鮮問題を解決してほしいと願っていますが、
北朝鮮問題が、なかなか解決しないで長引くようだと、
アメリカは、台湾問題を持ち出すかもしれません。
 トランプ大統領は、台湾の総統に対して、
プレジデント(大統領)と呼びかけました。
 アメリカとしては、共産党の中国と手を組んだのは、
ソ連という大きな敵を倒すために、やむを得なかったという思いがあります。
 一方、3期目を目指す習近平氏に対しては、
大きな実績を作らなければ、各派閥が3期目を認めないでしょう。
もし、台湾を吸収できたら、それが大きな実績となるでしょう。
 さて、筆者は、麻雀には詳しいのでしょうか。
囲碁においては、素人は、絶対にプロに勝つことはできませんが、
麻雀においては、素人でもプロに勝つことができます。
麻雀は、技術だけでなく、運の要素も強いからです。
 国際情勢を麻雀に例えるならば、
素人でもプロに勝つ、
つまり弱小国でも大国に勝つことがあるという話を本に入れてもよかったかもしれません。




















































































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